日本の地元の中学1年の時にイギリスに行った伊織は、当初、英語がほとんど喋れなかったので、授業の内容を理解するまでには相当苦労したはずです。でも短期間で英語を習得できたのには、運動神経の良さが影響していたと思います。小さい頃から、出来ないことを出来るようにするために時間を惜しまず練習を繰り替えすタイプでしたが、それは英会話でも同じだったと思います。小学校2年の時の授業参観で、子供たちが一人ずつみんなの前で得意なことを披露する、というのをやった時、伊織は「3重飛びやります」と言って、縄跳びの3重飛びを20回連続でやりました。私は、それが2重飛びではなかったことと、いったいいつ練習したのか‥と信じられない気持ちになったことを覚えています。話は戻りますが、イギリスで、クラスの友達と少しでも早く親しくなれるよう、英語を喋ろうとした情熱は想像できました。「一生懸命真似した」と言っていました。日本での英語学習は文法にこだわりますが、伊織の場合、英語の文法に触れたのは、むしろ7年後、日本に帰国して、大学受験のために、TOEFLの勉強を始めてからだったと言っても過言ではありませんでした。Bedstoneに入学して3ヶ月後にやって来た最初の夏休みは、ホームステイをして過ごしましたが、受け入れ先のガーディアンさんからのメールには、伊織の英語は日常会話に困らないほどに上達したと書かれていました。伊織は英語の文法の知識がほとんどないまま英語の環境に飛び込んだため、例えば英語圏の子供が生まれてから英語で会話ができるようになるのと同じように、しかもその何倍も速いスピードで英会話を身に着ける事が出来たのだと思います。英語圏の子供達だって、文法なんて習う事が無いのと同じです。英会話に必要な英語脳への切り替えがより効率よく出来ていったのだと思います。
~~~次回は伊織のけ入れ先のガーディアンさんのお話