伊織がBedstone Collegeに入学してから、伊織にお世話係としてついてくださったのは、ゲイ・ウォリスさんという年配の女性の方でした。以前は先生として学校に勤務されていたそうですが、お歳を召されてからは、留学生を担当して、毎週本人と面接をして母国の家族にレポートを送る仕事もされていました。私は心配性なので伊織が留学を始めてから、毎週寮の公衆電話に電話を掛け、伊織と話をすることを試みました。運よく誰かが電話に出て伊織を呼んで来てくれると、私は伊織と話をすることが出来ましたが、電話ではあまり話がかみ合わず、なぜか話し始めると伊織はトイレに行きたくなるので(しかも大の方)、落ち着いて話すことが出来ませんでした。なので、伊織の様子を知るには、ゲイ・ウォリスさんからのレポートの情報が有力でした。レポートには伊織がゲイさんと話した内容で、その週の自分の良かった事、反省すべきこと、次に目標にすることが書かれていましたが、私はこのレポートを読んで、ゲイさんにお返事を書きたいと思ったのでした。英語が苦手で、ゲイさんのレポートの内容も理解できない所が多かったので、英会話教室の先生をしているりえこ先生という方のもとに通い、私は学生の頃以上に真面目に英語の勉強をしたのでした。時には、伊織をお家に招待してくれた現地の生徒のお母さんにお礼のメールを出したり、お返事を頂いたり。数年間に渡ったこの作業は私にとっても大きなやりがいになり、私はこのメールのやり取りを本に書いて出版したほどでした。自費出版でしたが、出版直後は嬉しくて地元の静岡の図書館に自分で取り寄せのリクエストをしたのでした。 ~~~~~学長のサイモンズさん、のお話はまた次回